無調に和音付けする

12音技法ではどうしても曲を作れないので、勉強のため、
「A.Schoenberg 組曲Op.25 Praludium」に調性的な和音(伴奏)を付けてみました。
この曲は12音技法の最初の曲とも言われます。
作業(無調の曲に和音を付けて調性化する)は難しかったですが、 大変ためになりました。
自分自身の調性感や技術的な癖、どういう風に無調を聴いているのか、
といったことが、やりながら自然にわかってきます。
ただ、他人の作品に和音を付けるのは「禁じ手」で、作曲倫理的には許されません。
ここでは、原曲の音はそのままで代えたりしてませんし、伴奏を入れただけですので、
”勉強のため”ということで、ご勘弁ください。
「シェーンベルグ様/シェーンベルグファンの皆様、ごめんなさい」。

 A.Schoenbergの作品では「室内交響曲」ぐらいまでの初期作品が好きで、
 それらについては、
  • 形式やモティーフ操作などが懲りすぎで、全体がすっきりしてない。
  • 属調などの緊張感の高い調が最初に出てこない。それで緊張が持続しないような?
  • 表現主義的な動き(リズム、跳躍した旋律)が強すぎてヒステリックなところが多い。
  • 旋法的要素がまったくない。
 と感じます。文句ばかりのようですが、
 これらはBeethovenを基準にした物足りなさなであって、
 そこには圧倒的な美観や密度が確かにあります。(ロマンチックで美しいものが、てんこ盛りです。)
 ただ密度が高すぎて、私には細部がよく聴き取れないです。
 「遅めの(半分ぐらいの)テンポで聴けたらなー」といつも思ってます。

 では、今回分かったことをまとめておきます。
  • 12音技法といっても,フレーズ区切り部分等で調性感のある部分が見られる。
  • E.コステールが言うように5度と短2度(特にナポリ)は、調性を決定づける。
  • 完全に調が分からない部分のほうが、楽に(自由に)和音付けできる。
  • 特定の音を強調すると、すぐに調性感が出る。
  • 和音を付けると、調性から外れた音(原曲の音)のほうが、
      逆に付加音のような装飾的な音に聴こえる。

Praludiumの和音付
スケッチ(PDF)
音源(mp3)
  ピアノ曲にピアノで伴奏をつけました。
  同じ音色なので混じり合って、原曲(無調)が目立たなくなるようにしています。
  主調はd-mollで、全体はd -> b -> es -> G -> F -> B -> dと調が経過します。
  2,3箇所、うまく和音が付けられなかったり、つけないほうがよさそうなところは
  そのままにしています。(無調になってます)
  音源は、原曲指示の半分のテンポにして、
  細かい演奏記号(アーティキュレーション)も守らず、平坦にしています。

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