学習フーガをオケにする

オーケストレーション技術は、以下の3つが基本です。

  • 楽器法
      各楽器の音域、音域における音量の自由度、奏法を知ることです。
      楽器や奏法は、いまでも少しずつ進化しているので、
      自分で弾ける楽器以外は、最新情報を知るのは難しいです。
      現代音楽では、木管1本で重音(騒音のような感じ)を出す奏法もありますし、
      金管でも特殊な運指でペダルトーンを出す方法もあります。
      私は基本事項で十分だと思います。
  • 和弦
      楽器(複数)を組み合わせて、和音を鳴らすときの楽器の声部配置です。
      和音の構成音を出すそれぞれの楽器が、その音域で音量を自由にコントロールできれば、
      和音は大抵きれいに鳴ります。(HornとOboeのように音質が違いすぎると難しいですが)。
      弱奏でどこかの音がとび出したり、逆に強奏で出ない声部があるとうまく響きません。
      弦楽器は変な配置でも、倍音が多いためかあまり気にならず良く鳴ります。
      また、弦の音域による音量の自由度は、どの音域でもあまり変わりません。
      なので、弦楽器は和弦に関しては無視してもいいと思います。
      逆に木管では、音域による音量の自由度がまちまちなので(Oboeの低音域、高音域とか)
      各楽器で音量バランスが取れるかを考える必要があります。
      金管は、高音域で音が飛び出す以外は、音量の自由度は高いですが、
      弱奏での木管との相対的な音量の違いには注意が必要です。
      ただ大音量の場合、音が飛び出すのは金管のあたり前なので、
      それ程、注意しないでいいと思います。
      (Volumeつまみを上げるように全ての音量が一斉には上がりません)
  • ユニゾン・オクターブ結合
      声部(旋律)を、複数楽器でユニゾンやオクターブにすることです。
      これは、音量だけでなく楽器毎の音質にも関係していて、
      組み合わせによって、うまく混雑ったり(混合音色)、分離したり、
      きつい感じになったりいろいろです。
      よく使われる組合わせはありますが(HornとBassonのユニゾンとか),
      最終的には、個人の音響的な好みになります。
 ここでは、上記の「ユニゾン・オクターブ結合」の練習として、
 学習フーガをオーケストレーションしてみました。
 編成は一管で、木管各1 + Horn2,Trumpet,Trombone + Timpani + 弦5部 です。
 学習フーガは4声部で(和弦はなく)、各声部の音域がほぼ決まっているので
 「ユニゾン・オクターブ結合」の練習にもってこいです。
 実施に関しては、できるだけ管がソロにならないようにしました。
  不要そうな部分でも、弦と重ねています。ソロがあると変化(色)が出ますが、
 「ユニゾン・オクターブ結合」の練習なので、こうしています。
 あとは、遊びでTimpaniをいれています。
 「学習フーガをオーケストレーションする」のは、いい練習になるので
 おすすめします。

作者:島岡 譲  楽譜(PDF)   音源(mp3)
  このフーガは響きがとてもきれいなので、すっきリと鳴ります。
  特に盛り上がりやコーダは自然です。もとがいいとオーケストレーションも楽になります。
  ここでは、主題や対唱等を管で強調するようにしています。自由唱は弦でそのままです。

自作(a moll)  楽譜(PDF)   音源(mp3)
  もとがごつごつしたものなので、すっきりとは鳴らずフーガっぽく(多声に)聞こえません。
  A.Webernのオーケストレーションした、J.S.Bach「6声のリチェルカーレ」も
  声部が判別出来なくて、多声部(フーガ)には聞こえませんが、
  あれは音色旋律の実験としては、面白いです。
  ただ、題材がフーガじゃなかったらどうなんだろうと思います。

 学習フーガの楽譜はここにあります。

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