総音程音列のリスト(総数3856)
総音程音列とは、全ての音程が含まれる12音列のことです。
この音列は、今ではすっかり廃れたトータルセリエルなどの12音技法(以下セリー)の元ネタにできます。
総音程音列は手作業では見つけるのは大変面倒で、
A.ベルグが一晩かかって1つ見つけたといった逸話もあるくらいです。
ここでは、音列のリストは簡単なプログラムを作って出力しました。
プログラム(作るのに1時間程度)は、実行(出力)は1秒もかかりません。
いまさらながら、今のPCが速いのに驚きました。
ちなみに、昔、セリーで何度か曲を作ってみましたが、大変難しくて、
時間をかけた割りに、気に入るものが出来なかった記憶があります。
調性(あるいは感覚的な無調)の作曲手順として(私だけかもしれませんが)、
- 何らかのモティーフを用意する
- 和音付けや、線的な組み合わせの可能性を調べ、選ぶ
- さらに、移調したりして、展開時のパターンなども考える
- 曲の構造にあわせて、上記の素材を置いていく
という形をとるのが普通だと思います。
よく考えると、この手順はセリーとそれほど変わりありません。
「BachとかBeethovenとかも同じようなことをしている」と、
昔のセリー主義者が主張していたのは、こういう意味でしょう。
ただ、セリーでうまく出来ないのは、(自分の能力の問題だと思いますが)
以下の、無調を作るための制約のせいではないかと思います。(下記以外はまったく自由です。)
- 同じ音を繰り返さない
- オクターブやユニゾンを作らない
- 3和音のような伝統的な和声にしないようにする
- 全ての音を使い切るまで、音列を途中で捨てない
でも良く考えると、現代は(本当の意味で)作曲は自由ですから、
別にセリーで調性を作ってはいけないということはありません。
ベルグは調性に近いことをしていますし。
だから、音列を単に素材(”何らかのモティーフ”の代わり)にするというのはありです。
そうすれば、例えば次のような方法が可能になります。
- 音列を低音や旋律に見立てて(調性的に)和音付けする
長調・短調でも、旋法でも、印象派風の9和音でも、
あるいは5音音階の累積とかでもいい - 音列に、対旋律を付ける
音列にまったく関係ないものでかまわない - 12個にこだわらない
音列を6個や8個とかにすると、さらに普通の作曲に近くなる。 - 音列に、コード種別(数字付低音でもいい)や、和音進行を割り当てる
トータルセリエルでは、音価や強度(アタック)も音列のマトリックスで管理していますが、
それがコードとか和音連結とかであってもいいはず。 - 同じ音を何度でも繰り返せる
この方法のメリットは、勉強してきた和声・対位法などがそのまま使えることです。
また、こういった勉強をすればセリーで調性を書くことは(素材を作る時には)、
和声の問題を解くような作業に近くなります。
この方法を、
トーナル・セリエル(調的セリー)
と命名し(駄洒落です。すでにあったらごめんなさい)、
総音程音列を使って試作してみたいと思っています。
ただ、面白いものができるかはわかりません。
総音程音列のリスト
リスト(UTF-8テキスト/改行LF)
総音程音列のプログラム
javaソース(UTF-8テキスト/改行LF)
Javaのソースコードです。動かす場合は、拡張子を.javaに変更し、コンパイルしてください。
コンパイル・実行等は、すいませんがInternetで調べて下さい。
処理内容(総当りに近い)については、ソースのコメントを参照してください。