パッサカリア

トーナル・セリエル(調的セリー)を試作してみました。
総音程音列リストの1932番と、F.タレガの「前奏曲2番」(ギター曲)を使っています。
様式は長・短調(少し旋法的なところもある)で, 大変古いです。
音列の使い方はとても初歩的で、音列をパッサカリアのグラウンドにしただけで、
セリー技法というより、単なるテーマ(素材)にしたといえます。
作法については、以下に解説を書きましたので、興味のある方はご覧ください。
Passacaliaのトーナルセリエル解説(PDF)  

 試作してみての感想をまとめておきます。
 良い点
  • 感覚だけでは絶対に書かないような転調・和音連結が書ける。
  • 到達する調を決めているので、そこに向かっていくように書ける。
  • 作曲の調子が出ないときなど、テーマを絞り出さないでいい。
  • 和声や対位法の課題を解くように、坦々と作業できる。
 悪い点
  • 音列が難しい部分は、転調などが突飛なものになりがち。
  • 音列に阻止され、行きたいと思う方向にうまく進めない。
  • 感動的なものに仕上がらない。
  • 普通に作るのとあまり変わらない(あまり楽はできない)。

パッサカリア
スコア(PDF)   オケ音源(mp3) <== こちらがおすすめ
  1管編成のオケにしてみました。スコアは実音(in C)です。
  よく分からない曲が、ほんの少しマシになったような感じがします。

スケッチ(PDF)   音源(mp3)
  スケッチは4段譜で書いています。
  音源の音色は、Passacagliaということもあってオルガンにしました。
  ただ、スケッチのままなので、鍵盤が足りなくて実際はそのままでは弾けない所もあります。
  曲の最後には、F.タレガ「前奏曲2番」がそのままの形で出てきます。
  「前奏曲2番」は楽譜を見ると、変わった転調(和声分析はとても難しい)がたくさんあります。
  弾きながら作った為なのか、よく分かりませんが、
  聴いた時のチャーミングな感じとはずいぶん違った感じです。
  F.タレガの音選び(音感)は魅力があります。

元のスケッチ(フーガ付)(PDF)   音源(mp3)
  元のスケッチではフーガを入れており、
  間延びした感じだったので、最終スケッチでは削除しました。
  自己批判してみると、原因はフーガを主調で書いていて、
  主調出現の期待がフーガが始まると達成されてしまい、
  最後の引用(主調)が目立たなくなるからだと思いました。
  (あとは、フーガの様式的な音づかいの違いもあります。)
  そこで、フーガを属調で出すように修正しました。
  間延びがすこし解消されたと思います。

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