オケによるスタイル和声
昔、教材用に作った視唱の課題2曲を、オーケストレーションの勉強もかねて、
一管編成の小オーケストラに編曲しました。
課題は、もともとドビュッシー(C.Debussy)とマーラー(G.Mahler)の和声スタイルで作ってあったので、
実施では、オーケストレーションも真似るようにしました。
正直いうとオーケストレーションは不得意で、うまくいったか不安です。
編成は木管各1+ホルン2+弦5部です。またスコアは移調楽器等も全て実音(in C)で書いています。
ドビュッシーとマーラーは、近代作曲家ではオーケストレーションが飛びぬけて上手(個性的)
だと思いますので、(一応ですが)その傾向をまとめておきます。
- 弦5部は伴奏ばかり
弦5部はあまり旋律をとらず、ほとんど伴奏や背景(分割したりして)を作っている。
旋律は、木管がとるのが、圧倒的に多い。
(オケの弦メンバーは退屈じゃないのかなと思う。
弦が盛り上がらないと、聴いていてもあまり盛り上がらないし...
たまに旋律とるから、逆に目立っていいのか?)
- 音色を混ぜない
ユニゾンでもOctででも、他の楽器の重複をほとんどしない。
なので楽器本来の音色がよくわかる。
- 音響をはっきり切り替える
オーケストレーションの形(音響のBlock)を
フレーズ毎にはっきりと切り替えてゆく。
音色を混ぜない方法とあいまって、変化がはっきりする。
- オクターブ重複が少ない
オーケストレーションの段階で、オクターブ重複していないような感じ。
3段譜ぐらいで、(アルペジオとかは除いて)鳴っている音が全て書けそう。
- 弦5部はたくさん旋律をとる
弦5部は、旋律から伴奏まで大活躍で、休みがあまりない。
全体的に、音色が飽和するが、その代わり表情豊かで、盛り上がる。
(オケの弦メンバーも弾くのが楽しいと思う。) - 音色は混ぜる
弦とのユニゾンで、音色を混ぜる。
また、木管の低音域等で木管同士を混ぜたりして、独自な音色がする。
(もちろん、単独でその楽器の音色が聞こえるソロもある。)
- 音響は、徐々に切り替わる
弦を中心に、他の楽器が線として(ポリフォニックに)絡んでくるので
音響は、少しずつフレーズ毎に変化してくような感じ。
- オクターブ重複が少ない
これは、ドビュッシーと同じ。
歌曲の編曲など、ほとんどピアノ版の楽譜の音だけしか鳴っていない。
その代わり、同じ音をたくさんの楽器でユニゾン重複したりして
音は少ないのに、フォルテでは白熱した響を作っている。
2人の傾向からすると、
「スケッチで書かれた音をオクターブ重複しない」というのが
いいオーケストレーションといえるのかもしれません。
C.Debussyのスタイルによる小品
スコア(PDF)
音源(mp3)
5音音階の旋律に、9の和音の付加6度の和音や、
モード的な連結、半音階的な和音付などをしています。
また、大胆な並進行もあります。
中間部は、ドビュッシー得意の全音音階(WholeTone)です。
G.Mahlerのスタイルによる小品
スコア(PDF)
音源(mp3)
2重倚音をたくさん使っています。
倚音同士がぶつかるのが、マーラーの和声的な特徴です。
中間部には「トリスタン」が顔を出します。
ただ....視唱で歌うにしては、暗すぎです、これ。